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大学院留学生が「新規な流れ分析装置の開発」で最優秀口頭発表賞を受賞

2015.02.16 受賞・表彰

工学研究科博士後期課程電気・材料工学専攻3年のアレハンドロ・アヤラ君が「流れ分析」に関する国際会議で若手研究者最優秀口頭発表賞を受賞しました。アヤラ君はメキシコから3年前に本学へ留学、生命・環境分析化学研究室(手嶋紀雄応用化学科教授、村上博哉講師)に所属し「新規な流れ分析装置の開発」の研究を続けています。

「流れ分析」は医療や環境問題に貢献する分析技術であり、多くの化学反応が重金属イオン、界面活性剤、医薬品、農薬などの高精度分析に応用されています。一昨年11月には、フェノール類、シアン化合物など、環境指標として重要な項目の測定法としてJIS(日本工業規格)にも導入されました。環境水や水道水に含まれる物質の濃度を測定する際、これまではメスフラスコに試料と試薬をまぜて手で振って行いましたが、流れ分析では内径0.5㍉程度の細いチューブ内を通すことで、少ない薬品で自動的かつ迅速に計測できるようになりました。アヤラ君は独自に新たな流れ分析技術として「同時注入迅速混合フロー分析」(SIEMA)というシステムを製作、鉄とバナジウムに関してppb(10億分の1)レベルの微量分析法を開発、発表しました。バナジウムはインシュリンに似た薬理効果で注目されている元素ですが、効果が確定されていないので「精密な濃度管理が大切」といいます。

この国際会議の大会名は「The 19th International Conference of Flow Injection Analysis and Related Techniques」で、昨年12月に福岡市で開催されました。フローインジェクション分析国際会議組織委員会が主催しており約25年の歴史を持ちます。今大会には世界18カ国から研究者、学生合わせて189人が参加しました。アヤラ君は「システムの製作に1年かかったので受賞できてうれしい」と感想を述べ、手嶋教授も「分析法の高度化が評価された。今後の活躍に期待したい」と話しています。

なお、この国際会議ではタイ・チェンマイ大学の2人の若手研究者も優秀口頭発表賞などを受賞しました(http://www.prcmu.cmu.ac.th/perin_detail.php?perin_id=708)。同大学と本学は学術協定を結んでおり、手嶋研究室へも留学経験があります。酒井忠雄名誉教授と手嶋教授は同大学のグルッパン教授と学術交流を続けており、本学とのコラボレーションが成果を上げました。

写真は、独自に製作した「SIEMA」システムの前でアヤラ君。右が手嶋紀雄教授

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