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ビジュアル情報処理研究室 看護学生のための支援ツールで 情報処理学会全国大会学生奨励賞を受賞

2015.04.01 受賞・表彰

 3月17日~19日、京都大学(京都市左京区)で開催された「情報処理学会 第77回全国大会」においてビジュアル情報処理研究室(情報科学科・澤野弘明准教授)の赤津舞子さん(2015年3月卒業)が卒業研究で取り組んだ「看護教育のための関連図作成ツールの提案及び評価」について発表し、優秀な発表であったとして学生奨励賞を受賞しました。

 指導教員の澤野准教授のもとに、看護学生たちが必ず学ぶ「関連図」の学習についてもっと効率よく作成する方法はないかと相談があり、赤津さんが卒業研究として取り組むことになりました。関連図とは、患者の名前や年齢などの基本情報のほかに、疾患名、原因、症状などの情報を足していき、患者の状態の全体像を分析・把握をするためのもので、学生たちは関連図を通して看護を学んでいきます。従来は手書きで行われることが多く、作成に時間がかかったり、修正する場合は書き直しが大変であったりと関連図作成が苦手な学生が多く、また指導者側も形式が決まっていないため添削・評価に時間がかかるなどの問題点がありました。事前調査を行ったところ、看護学生にPC初心者が多くPC操作に不安を感じる学生がいることが分かったため、赤津さんは「PC初心者でもパソコンを使って関連図作成ができること」を目指しました。

 赤津さんが開発したAKaTool (Associate Kango Tool)は、操作の簡易化を追求したため操作ボタンは「追加」「印刷」「ヘルプ」の3つ。患者の情報を入力した〝吹き出し〟を好きな場所に配置したら、あとは〝吹き出し〟を「追加」していくだけ。カテゴリーごとに色分けされた〝吹き出し〟の中には自由に情報を入力・編集することができ、関連する〝吹き出し(情報)〟を選ぶと自動的に矢印でつながります。どんどん〝吹き出し(情報)〟を追加でき、関連性がわかりやすいように〝吹き出し〟の位置を自由に移動させることも可能です。〝吹き出し〟を移動させても矢印は追従してきます。手描きよりもきれいで見やすく、追加や修正も簡単にでき、学生にとっても指導者にとっても、時間の短縮や負担の軽減になります。

 看護短期大学の看護学生51人に実際にAKaToolを使用して関連図作成をしてもらったところ、「修正が楽で便利」「今後も使用したい」「関連図作成は今まで負担に感じていたが、学習に積極的になれる」「パソコンが苦手でもこれなら使える」など、9割以上の高評価を得ることができ、また看護教育の専門家からの反応も良好でした。

 概ね好評であった今回の評価実験ですが、矢印の種類や色を増やしてほしいなどの要望や、データベース化して情報共有やデータ管理できるようにし、学生の提出や指導者の添削閲覧などを可能にしたりとまだ改善の余地があります。今後研究は商品化も視野に入れ、赤津さんの後輩に引き継がれます。


写真㊤は受賞した赤津舞子さん㊧と澤野弘明准教授
 
写真㊥はツールで作成した関連図
   ㊦は手書きの関連図

ツールで作成した関連図は、吹き出しがカテゴリーごとに色分けされています。
青:基本情報、疾患や患者の反応の原因、疾患名
緑:症状・治癒・患者の反応、日常生活への影響、看護問題
黄:推測できること
白:その他の情報

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