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内藤准教授が長尾真記念特別賞

2016.06.14 受賞・表彰

 情報科学科の内藤克浩准教授が、情報処理学会の長尾真記念特別賞を受賞しました。情報処理の研究・開発に携わる優秀な若手研究者に贈られる賞で、内藤准教授が取り組んできた「ネットワーク技術を包括的に取り扱うクロスレイヤアプローチによる新たなモバイルネットワークシステム開発」が高い評価を受けました。
 「ざっくりいうと、私の研究はスマートフォンがますます便利になるための技術開発」と内藤准教授は説明します。取り組む研究には三つの枠組みがあり、一つは、短時間で正しい情報を送るための「協調通信」の技術。「人が同時に話すと聞き取れなくなるのと同じで、電波も同時に送ると衝突してしまいますが、内容が同じであれば聞き取れるタイミングがあるんです。この通信方式なら交互に制御する必要がなく、通信にかかる時間を減らせます」
 二つ目は、スマホで通話などをしながら移動中に利用する電波が携帯電話からWi-Fiなどに切り替わっても、そのまま通信を続けられる「移動透過性」の技術。「たとえばスマホでチケットの予約をしている最中にネットワークの切り替えが起きるとゼロに戻されてしまいますよね。これは決済などのセキュアな処理にも役立つ技術です」
 三つ目は、複数あるチャンネルの中から一つを選び、データを送信するチャネルに周りの端末を短時間で集めることができる通信技術。一つ目の「協調通信」とともに、衝突回避や渋滞緩和など将来の交通システムへの利用が有望視されています。
 電波をどう送るかは電気電子工学の分野、ネットワークのプロトコルは計算機科学の分野と、ネットワークの世界は「レイヤ」(層)の構造で積み重なっています。内藤准教授は、いくつにも分かれたレイヤの要素、技術をまたぎ、包括的なシステム開発を続けてきました。「10年余にわたる研究の全体像を評価していただき、大変光栄です」と受賞の喜びを話しています。

写真は、長尾真記念特別賞を受賞した内藤准教授。左は情報処理学会の富田達夫会長

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