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オープンイノベーションで未来を創る!

愛知県による産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクトⅢ期」に
愛工大から2件の研究テーマが採択されています。

「知の拠点あいち」とは
愛知県では、大学等の研究成果をモノづくり産業の技術革新(イノベーション)につなげ、既存産業の高度化や次世代産業を創出するため、愛・地球博跡地に次世代モノづくり技術の創造・発信の拠点として「知の拠点あいち」を整備しています。

校舎の画像
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先進的AI·IoT・ビッグデータ活用技術開発プロジェクト

直流スマートファクトリー
実現に向けた変換装置の開発〜愛知発の直流スマートファクトリーを実現〜

研究リーダー
愛知工業大学 工学部 電気学科 教授
雪田 和人
事業化リーダー
河村電器産業㈱ 小西功次
参画機関
河村電器産業㈱、㈱五合、龍城工業㈱、愛知工業大学、
名古屋大学、あいち産業科学技術総合センター
愛知工業大学 工学部 電気学科 教授 雪田 和人

太陽光発電、燃料電池発電、蓄電装置などの出カエネルギーは、いずれも直流電力です。直流電力技術を利用することにより、これまでの交流電力よりも高効率な電カシステムの構築が期待できます。

現在、直流電力技術に関しての社会実装は、データセンターなど一部で実施されていますが、鉄道を除く他の領域においては、基本的になされていません。これは、直流-直流の電力変換技術、直流電力の遮断技術、故障検出技術などに関しての検討が十分に実施されていないからです。

そこで、「愛知発の直流スマートファクトリー」を実現させるため、高効率変換器の開発と社会実装を目指し、この研究テーマに取り組みます。

具体的には「次世代電力半導体技術によるパワエレ技術を用いた直流-直流電力変換装置」「新型変圧器を用いた交流-直流電力変換装置」を開発し、電力変換効率98%を目指します。さらに、これら変換装置の社会実装を目指し、無機塗料を用いた新しいノイズ低減方式の開発に取り組みます。

交流/直流ハイブリッド型スマートファクトリー 高効率受変電システムの開発 耐ノイズ塗料技術の開発
zoom
研究プロジェクトに関わる学生たちに話を聞きました
INTERVIEW

施設・設備も、人も、
素晴らしい環境です

グエン・ドゥイ・ディンさん(電力システム研究室)

エコ電力研究センター ポストドクトラル研究員

直流スマートファクトリーでの使用を想定した変換器と電気自動車給電器の開発を担当しています。
「知の拠点あいち」での研究に自分が携わることができると知った時は、大変うれしく思いました。より大規模な実験環境の中で研究に取り組めますし、企業とコラボレーションできるからです。愛知県の企業に私の持つ知見を提供し、新たなビジネスの創出に貢献できることを、とても光栄に感じています。
以前は芝浦工業大学で博士研究員を務めていました。「次はパワーエレクトロニクスの技術を学びたい」と思っていたところ、当時の指導教員から「愛工大の雪田先生の研究室なら、その分野でさまざまな新しい技術にトライしているから学べることが多いと思う」と伺い、門を叩きました。
愛工大は教育面・研究面ともに施設・設備が非常に充実していると感じています。また、ベトナム出身で日本語を話せない私を周りの皆さんが親切にサポートしてくれて、素晴らしい環境で研究に取り組むことができています。

知識と現実社会を
結び付けていきたい

津坂 亮博さん(電力システム研究室)

大学院工学研究科 博士前期課程
電気電子工学専攻 2年

電力供給システムの研究はさまざまな大学で行われていますが、愛工大のように風力発電システム、太陽光発電システム、自家用発電機など、実際の装置を使って実証実験を行える環境を備えている大学は、他にあまりありません。シミュレーションだけでは気付けないことも発見できるので、恵まれた環境で研究できていることを実感しています。
企業と共同研究する機会はこれまでにもありましたが、「知の拠点あいち」のプロジェクトに携わることで、さらに多くの企業の方と力を合わせて研究に取り組める機会を得られ、うれしく思います。このプロジェクトを通して、研究室で身に付けた知識と現実社会を結び付けていけたらと考えています。
現在、大学院博士前期課程2年です。春からは博士後期課程に進み、修了後は愛工大で教員になりたいと考えています。私は名電高校出身で、高校・大学・大学院と、ずっとこの学園にお世話になってきました。将来は後輩たちの成長を支えることで、私を成長させてくれたこの学園に恩返しをしていけたらと考えています。

学生の写真

※学生の所属・学年は
取材当時のものです。

写真左から
グエン・ドゥイ・ディンさん、
岩根佑治さん、津坂亮博さん、
小林優介さん、福山剛健さん、
加藤亘輝さん

Project2 Project2
愛知工業大学 情報科学部 情報科学科 教授 塚田 敏彦

近未来自動車技術開発プロジェクト

ヒトに優しい遠隔運転要素技術の
開発とシステム化〜完全自動運転実現への架け橋として〜

研究リーダー
愛知工業大学 情報科学部 情報科学科 教授
塚田 敏彦
事業化リーダー
㈱マックシステムズ 吉田正博、
イーブイ愛知㈱ 中西良介、
㈱オリエンタルコンサルタンツ 城所貴之
参画機関
㈱マックシステムズ、イーブイ愛知㈱、
㈱オリエンタルコンサルタンツ、
愛知工業大学、愛知県立大学

世の中では自動運転技術の開発が活発に行われており、近い将来、いくつかの場面で自動運転の実現が期待されています。しかし、それは幹線道路など、自動運転に適したインフラを整備することが可能な環境に限られ、生活道路や山間地の道路、さらには道交法に反した走行が必要となる私道など、あらゆる環境において完全自動運転を実現することは、大変困難です。一つの解決策として、非常時に遠隔運転により、立往生を切り抜ける方策が考えられます。

遠隔運転を実現するためには「遠隔運転者が安全に運転するための車両周辺情報の提供」と「運転操作を確実に遠隔車両へ通信して、乗員に安全と安心を感じさせる車両移動」の実現が不可欠です。この研究テーマでは、これらの実現に向けて「遠隔運転コクピットと車両」「コクピットと車両間で情報をやり取りするための通信セキュリティ技術」「通信遅延により生じる映像とモーションのずれによる違和感を抑えるための機能」など、さまざまな要素技術の開発を進めます。

遠隔運転イメージ コクピット要素技術 遠隔車両要素技術
zoom
研究プロジェクトに関わる学生たちに話を聞きました
INTERVIEW

「安全性」への
意識や技術を学びたい

川上 勇剛さん(組込みシステム研究室)

大学院経営情報科学研究科 博士前期課程
経営情報科学専攻 2年

「遠隔操縦付き自動運転車」プロジェクトには愛工大の8つの研究室が参画し、知恵と技術を結集して開発に取り組んでいます。これだけ多彩な分野の学生が果たしてベクトルを一つにできるのだろうか―プロジェクトの開始前は、そんな不安もありました。しかし、その不安は開発がスタートするとすっかり消えました。それぞれの得意分野を生かして連携し、時には刺激し合いながら一体感を持って取り組んでいます。
このプロジェクトの中で私は自動運転の技術開発を担当しています。オープンキャンパスでは学長を乗せた車両で自動運転のデモ走行を行った実績もあります。
「知の拠点あいち」における研究は企業の方々と共に取り組むため、大きく視野を広げられると感じています。学生だけで研究していると、どうしても最終形をイメージするのが難しい面がありますが、企業の皆さんは研究の中で「実際に製品やサービスとして実現するにはどうしたらよいか」を常に意識しています。そのような文化を学生のうちに体験できることは、とても有意義だと実感しています。

製品化を見据えた
研究を体験できる

鈴木 建哉さん(知的システム研究室)

大学院工学研究科 博士前期課程
電気電子工学専攻 1年

車両から送られてきた映像を見て運転する――それが遠隔運転です。私は遠隔運転者が見る映像を、より操縦しやすいものにしていくための技術開発を担当しています。
これまではコンピューターを使ったシミュレーションが中心でしたが、今後は実際の車両を使い、人が搭乗した状態での実験も進めていきます。ソフトウエアの知識だけではなく、車両の機構や通信環境に関することなど、私にとっては専攻外の知識も高めていく必要があるため、習得に努めています。
企業の方々とのミーティングでは、「人々に安全なものを提供する」ことへの意識を強く感じます。「安全性」は遠隔運転の実用化に向けて何よりも大切な部分だと思うので、「知の拠点あいち」での共同研究を通じて、しっかり学んでいきたいと考えています。
逆に私たちから企業の皆さんに提供し、活用していただきたい研究成果もあります。企業の方が持つノウハウに、私たちの研究成果を加えることで、より人に優しい遠隔運転システムが構築できると考えています。

学生の画像

※学生の所属・学年は
取材当時のものです。

写真左から
岡本悠佑さん、鈴木建哉さん、
永井雄馬さん、川上勇剛さん、
太田千遥さん、山本貴大さん、
井上佳さん、香田直樹さん

知の拠点あいち