全国に存在する歴史的空間を再編しようとする設計作品が対象の「歴史的空間再編コンペティション2024」(グランプリ大会11月23~24日・金沢市学生のまち市民交流館)で、建築学科の都市計画・まちづくり研究室(益尾孝祐准教授)に所属する4年生2チームが、能登半島地震被災地の復興を願う作品で3位と9位に入賞しました。

 3位入賞したのは、二橋颯さん(静岡県立天竜高校出身)、森田梨花さん( 静岡県立浜松工業高校出身)、馬場健互さん( 大阪府立西野田工科高校出身)、伊藤南々葉さん(平山学園清林館高校出身)のチームで、作品「生業景勝」を提出しました。

 奥能登(石川県珠洲市宝立町)の里山里海を近代復興による文化的景観の損失から守るため、段畑で防潮堤を築き、津波被害を軽減します。住宅は歴史的な旧街道である内浦街道沿いに内陸移転することで、段畑によってここで暮らす住民を守ります。また、失われた生業の場を海岸沿いにある段畑上に集約し、地域住民みんなで生業を守るという意識を持つことで、今まで家業だった生業が見える化され、「継承」者増加に繋げます。そして宝立町は新たな「景勝」地として賑わいを取り戻します。

 9位入賞したのは、堤悠貴さん(愛知県立西春高校出身)、梅崎真睦さん(長野県岡谷工業高校出身)、齋藤結愛さん(三重県立川越高校出身)、渡辺紗帆 さん(静岡県立浜松工業高校出身)のチームで、作品「復興の階梯」を提出しました。

 石川県輪島市は人口減少・成熟社会の段階にあり、たび重なる地震災害の中で地域経済と市民の心は疲弊しています。本提案では段階的復興計画の中で、地域づくりの延長線上に住民が主体となり推進できるまちづくり市民事業を行います。なりわいと文化に配慮した丁寧なポスト近代復興を行い、歴史的空間である朝市通りを再編します。

 受賞した学生たちは、「令和6年能登半島地震の被災地を訪れ、自然の猛威を目の当たりにし、復興が進んでいない状況に私たちにできることを模索しました。今回たくさんの先生方と能登の復興について話し合え、10選に選んでいただけたことを大変うれしく思います。迅速な復興が進むことを願っています」と話しています。

3位の生業景勝チーム
3位の生業景勝チーム
9位の復興の階梯チーム
9位の復興の階梯チーム