木造建築を学ぶ学生を対象とした設計コンペ「AICHI WOODY AWARD(あいちウッディアワード) 2024 」(愛知県主催)で、建築社会システム研究室(野澤英希建築学科教授)のチームが優秀賞と奨励賞を受賞しました。

 AICHI WOODY AWARDは、愛知県が誇る豊富な森林資源・建築用木材を活かした純木造建築物の設計アイデアを県内在住または、在学の建築を学んでいる学生から募集するものです。優秀賞に輝いたのは4年生の冨田峻佑さん(岐阜県立加納高校出身)、小林未歩さん(愛知県立豊丘高校出身)、齋藤勇志さん(愛知県立西尾東高校出身)のチームで、「記憶の遊具と共に育む ~世代を超えて心惹かれるオフィス~」と題して作品を提出しました。

 テーマである「行くたびに心惹かれるオフィス・商業施設」を、学生たちは成長と捉えました。社会背景として、共働き世代の増加により、多くの人が働きながら子育てできる場所を求めています。仕事をする大人と、楽しく遊ぶ子供を繋ぐものとして、遊具での楽しい思い出を活用します。木のぬくもりを感じながら、人を育む空間を設計します。その提案として、建築物を910のグリッド間隔でジャングルジムに見立て設計しました。また、ジャングルジムから形態を6つ計画し、それぞれで大人と子供、使い道が異なり、それぞれにとっての居場所となるとともにつながる要素となります。大人と子供が共に遊具を通して、成長していくとともにその過程を心惹かれるものになることを願っています。

 受賞にあたり、学生たちは「愛知の森林資源を活用した心惹かれる空間をテーマに、木材を利用することの、面白さや可能性を考えることに苦労しました。しかし、仲間と話し合いを重ねながら、賞を得られたことは、自分自身の大きな成長につながったと感じています。今後はさらに知識を深め、より良い成果を目指して努力を続けていきたい」と話しています。

 奨励賞を受けたチームは、岡田大輝さん(大学院博士前期課程1年・愛知県立刈谷北高校出身)、金井春樹さん(4年・愛知県立東海南高校出身)、小林一樹さん(4年・愛知県立木曽川高校出身)です。「45mmのゆとりと日々 -茶室の要素から生まれる移ろい馴染む施設の提案-」と題して作品提出しました。

 日々過ごす空間は一定であり、「慣れ」という安心を与え、その中で過ごす日々はどこか物足りなさを感じます。そこで、「行くたびに心惹かれる」=「常に変化しながらも安心する空間」と考えました。日本に生まれて日本で育っている私たちは、潜在的に茶室という空間に安心という魅力を感じていると考えます。そこに移り変わる空間を創り出します。日光や風、水の流れや人の動きなどにより 365 日の毎日が変わっていく空間を提案します。それらで構成されたオフィスおよび商業施設は、人々に刺激を与え生活に馴染んでいきます。茶室という空間に対する潜在的な安心のもと、新たな発見や体験ができる、そんな施設に多くの人が集まってきます。

 学生たちは、「建築物の木造化の現状は、非住宅部門では2割を下回っています。講評でいただいた意見をさらに深めながら、木造化が促進されることに対してさらに考えを深めていきたいです」と話しています。

審査委員長を囲んで、優秀賞を受けた学生たち
審査委員長を囲んで、優秀賞を受けた学生たち
奨励賞を受けた学生たち
奨励賞を受けた学生たち