昨年12月に本学自由が丘キャンパスで開催された電気設備学会2024年(第6回)学生研究発表会で行った発表により、電力システム工学研究室(雪田和人電気学科教授)に所属する大学院博士前期課程1年の松永亜香里さん(愛知県立日進西高校出身)が優秀賞、学部4年の高島綾華さん(長野県松本工業高校出身)と柴田晃佑さん(愛知県立豊橋東高校出身)が準優秀賞を、それぞれ受賞しました。

 松永さんは、「特殊巻線構造多相変圧器を用いた高調波抑制に関する一検討」という題目で発表しました。

 近年、脱炭素社会に向け再生可能エネルギーを用いた発電システムの導入が進んでいます。このため,再生可能エネルギーと親和性の高い直流給電システムの検討が行われています。電力系統は交流電力なので、直流給配電システムで使用するためには,交流(AC)電力を直流(DC)電力に変換する必要があります。そこで、研究室では交流/直流変換を行う特殊巻線構造多相変圧器を作製し、高効率で安定した直流配電の検討を行っています。

 今回の発表では、特殊巻線構造24相変圧器を用いて、交流直流給配電を行った際の高調波抑制方法の検討を行いました。

 高島さんは、「電力変換装置から発生するノイズの検討」と題して発表しました。 

 近年、再生可能エネルギーの普及に伴い、電力変換装置の使用が欠かせない状態となっています。特に、直流電力を交流電力に変換する系統連系装置(PCSPower Conditioning System)は、風力発電システムや太陽光発電システムの中核を担う機器として普及しています。このPCSに関しては、設置場所や運転に伴う振動や音の発生が確認されており、地域環境や周辺住民への配慮を図ることが求められ、ノイズを抑制するための研究が進められています。

 そこで本研究は、PCSから発生する電力ノイズとノイズ音(騒音)との関係性を検討しました。具体的には、太陽光発電用のPCSを使用し,PCSが稼働時における出力波形とノイズ音を計測し、計測データを高速フーリエ変換(FFT)解析し、出力とノイズ音との関係性について研究をしました。

 柴田さんは、「多相変圧器を用いた直流電力品質の基礎検討」と題して発表しました。

 近年太陽光発電の導入が進んでおり、太陽光発電と組み合わせることにより高効率となる直流配電網の検討が行われています。そこで本研究室では、直流配電網において電力系統と接続するのに必要な交流/直流変換器を変圧器を用いて作成し、高効率な直流配電の実現を目指し研究を行ってきました。

 本研究では、特殊巻線構造24相変圧器を用いて交流/直流変換器を作成し、変圧器の変換相数と直流電力品質の関係について研究を行いました。

 受賞にあたり、3人は「今後も特殊巻線多相変圧器の導入検討等を行い、より高効率な直流配電システムの構築を目指し研究を進めていきたい」(松永さん)「PCSからのノイズについて研究、検討を行いました。先行研究を参考に右往左往していましたが、なんとか電力ノイズとノイズ音との比較ができたのはとてもいい経験でした」(高島さん)「今年度は変圧器や整流器についての学習や研究を進めてきました。今後も特殊巻線構造変圧器について研究を進め、よりよい交流/直流変換器の作成を目指したい」(柴田さん)と話しています。

優秀賞の松永さん
優秀賞の松永さん
準優秀賞の高島さん
準優秀賞の高島さん
準優秀賞の柴田さん
準優秀賞の柴田さん