電力システム工学研究室(七原俊也電気学科教授)OBの山田康暉さん(20243月大学院博士前期課程修了)の在学時の業績(論文)に対し、IEEE PES Japan Joint ChapterからStudent Best Paper Award(学生優秀論文賞)が贈られました。

 この賞は、IEEE PES(IEEE=米国に本部を置く電気・情報工学分野の学会= Power and Energy Society)が主催する国際会議に加え、IEEE PESが共催する国際会議で発表された論文、またはIEEE PESが発行する論文誌に掲載された論文がある場合に応募することができ、その中で優秀と認められたものに授与されます。今回の受賞は、論文誌 IEEE Transactions on Power Systems に掲載された査読論文が評価された結果です。

 山田さんは、「研究を行うにあたり、七原教授に数多くのご指導、ご助言をいただきましたこと、この場を借りて心より感謝申し上げます。受賞を励みに、今後も電力分野のさらなる発展に貢献できるよう、研鑽を積んでまいります」と喜びを話しています。

 受賞論文の概要は以下の通りです。

 「A Study on Short-Circuit-Ratio for an Inverter-Based Resource With Power-Voltage Curves(電力-電圧曲線を用いたインバータ電源の短絡容量比に関する考察)」

 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー電源は、発電時に二酸化炭素を排出しないことから、導入量が増加しています。しかし、これらの電源はインバータを介して電力系統に接続されるため、導入量の増加に伴い、系統電圧の不安定化などの問題が生じることがあります。このような電圧不安定性を評価する指標として、しばしば短絡容量比が用いられてきました。本論文では、この短絡容量比について、電力系統の特性を示す電力-電圧曲線を用いてその最小値を検討しました。その結果、短絡容量比に対して電力-電圧曲線を用いた理論的な背景を明らかにしました。また、たとえばインバータを一定の力率で運転する場合には、短絡容量比を2より大きくする必要があることを示しました。

山田康暉さん
山田康暉さん