愛知工業大学知識マイニング研究室と株式会社フリーヒルズラボの共同チームは、特許情報に基づく技術・知財マッチングAIの開発に成功し、デモ版の提供を開始しました。
本AIは、2件の特許に関する技術情報を入力することで、特許技術のマッチングの可能性を算出するものです。これにより、従来は困難だった異なる企業・分野間での知的財産ベースでの連携や、新たな技術連携の糸口の発見が期待されます。
知識マイニング研究室ではこれまで、特許・論文の解析技術を中心に研究を行ってきました。今回のAIでは、その研究成果[1],[2]を基に、特許文中の有用な情報を抽出・分析し、技術の融合可能性や実現性を多面的に評価できる新しい仕組みを実現しました。
開発は、愛知工業大学経営学部 野中尋史教授の指導のもと、株式会社フリーヒルズラボに所属しつつ、本学の学生でもある土屋菜々美さん(経営学部経営学科経営情報システム専攻4年・取締役)、伴野悠也さん(同専攻3年・執行役員)、平野貴大さん(同専攻2年)、西尾紗也香さん(経営情報科学研究科博士前期課程経営情報科学専攻1年)、伊豫田彬さん(同専攻2年)が中心となって行いました。
野中教授は次のようにコメントしています。
「教員だけでなく、研究室およびフリーヒルズラボの学生メンバーが主体的に動き、AIを開発できたことは感無量です。このAIによって、ものづくり企業同士のご縁が深まり、そこから画期的なイノベーションが生まれることを期待しています。」
また、学生側のリーダーであり株式会社フリーヒルズラボ取締役の土屋菜々美さんは次のように述べています。
「学生のうちから社会実装に関わる技術仕様の策定や開発に携われたことを大変うれしく思います。このAIを通じて、これまで関係のなかった企業同士を結びつけることで、少子高齢化が進む中でも生産性の向上に貢献したいと考えています。」
デモ版は、まず知識マイニング研究室/株式会社フリーヒルズラボと連携しているPATRADE株式会社に提供され、同社が展開する知財マッチング事業での活用を目指しています。さらに、愛知県名古屋市の吹上ホールで開催される「次世代モノづくり基盤技術産業展」のPATRADE株式会社ブースにおいて関連する内容が展示される予定です。
なお、他の開発メンバーのコメントは以下の通りです。
伴野悠也さん
「技術をベースにマッチングするAIはこれまでになかったと思います。このAIがものづくり分野でワクワクドキドキするようなイノベーションを引き起こしてくれることを期待しています。」
平野貴大さん
「LLMを活用したイノベーションの提案という興味深い挑戦に携われている点にやりがいを感じています。開発およびその検証を通して深く生成AIに踏み込んでみた結果、どこまでできるか探求してみたいという意欲が高まっています。」
西尾紗也香さん
「本格的な社会実装を経験でき自分自身のスキルがあがったと思います。」
伊豫田彬さん
「教員と学生が一体となりがんばってきたことの喜びがあります。引き続き開発を頑張っていきたいです。」
研究成果
[1] Sayaka Nishio, et al,., "Extraction of Research Objectives, Machine Learning Model Names, and Dataset Names from Academic Papers and Analysis of Their Interrelationships Using LLM and Network Analysis", 2024 IEEE International Conference on Industrial Engineering and Engineering Management (IEEM2024), Bangkok, Thailand, 2024.
[2] Tsuchiya Nanami, et al,.,"Similarity analysis method for Patent Documents using Sentence BERT", Proceedings of the IIAE International Conference on Intelligent Systems and Image Processing, Matsuyama, Japan, 2024.