日本建築学会設計競技2025において、建築学科の建築社会システム研究室から1チーム、都市計画・まちづくり研究室から2チームが、それぞれタジマ奨励賞を受賞しました。

学会・大会名
日本建築学会設計競技2025

受賞名
タジマ奨励賞

受賞日
2025910

受賞テーマ「薄景に住まう-市街化調整区域に取り残された集落の未来の再考-」

受賞者 大崎颯良 建築学専攻4年(名古屋市立桜台高等学校)
山田さくら 建築学専攻4年(岐阜県立関高等学校)
伊藤颯 住居デザイン専攻4年(愛知県立田口高等学校)
研究室(指導教員) 建築社会システム研究室(野澤英希建築学科教授)
作品コンセプト かつての⽇本の農村集落では、暮らしを⾃然の循環に組み込み、相互扶助の精神を基盤とした独⾃の⽂化を根付かせて⽣活が営まれていた。この「自然との共生」と「相互扶助」こそ解築学の本質であると考える。
多くの農村集落では、⾼度経済成⻑期に市街化調整区域に指定され、無秩序な開発から守られた⼀⽅、発展の機会が奪われ縮⼩が余儀なくされてきた。こうした集落において必要なのは、発展ではなく残された住⺠の暮らしを"いかに持続可能なものにするか" であると考える。
本提案では、縮⼩が進む滋賀県仰⽊地区において、古くから根付く相互扶助の共同体である『講』に着⽬する。縮⼩によって⽣まれる空き家や集落全体の綻びの修繕・再利⽤に⾄るプロセスを『講システム』として再解釈し、縮⼩によって⽣まれる問題に対する解決⼿法を住⺠が担い⼿となる相互扶助的・持続可能な暮らしへの再編⼿法として提案する。
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受賞テーマ「普請教育-伝統技術の継承による新たな復興のまちづくり」

受賞者 平野愛奈 住居デザイン専攻4年(静岡県立浜松工業高等学校)
貝沼千尋 住居デザイン専攻4年(名古屋市立北高等学校)
増子翔 建築学専攻4年(東京都立総合工科高等学校)
渡邉凌央 建築学専攻4年(愛知県立春日井東高等学校)
研究室(指導教員) 都市計画・まちづくり研究室 (益尾孝祐建築学科准教授)
作品コンセプト 日本建築学会設計競技2025では「『解築学』を可視化する解体と循環の時代を切り拓け」をテーマに、「普請教育」という形で提案を行った。「普請」とは、自然と共に暮らし、地域住民が助け合いながら建築してきた伝統的な文化であり、伝統工法の建物を再生・改修する基盤となってきた。その技術を継承するためには、「普請」の精神を現代に再び根づかせることが不可欠である。本提案では、能登半島地震で被災した黒島地区を舞台に、伝統工法を学ぶ教育の仕組みを構築し、学生・住民・職人が協働する復興まちづくりを描くことで、普請教育を通じた解築学の可視化と地域再生の可能性を示すことを目指した。
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受賞テーマ「ホワイト空き家不動産―責任ある建築産業の在り方」

受賞者 土本恵大 建築学専攻4年(岐阜県立多治見北高等学校)
小島華野 住居デザイン専攻4年(愛知県立愛知総合工科高等学校)
近藤芽衣 住居デザイン専攻4年(愛知県立蒲郡東高等学校)
研究室(指導教員) 都市計画・まちづくり研究室 (益尾孝祐建築学科准教授)
作品コンセプト 日本建築学会設計競技2025では「『解築学』を可視化する-解体と循環の時代を切り拓け」に対し、私たちは空き家活用の新たな仕組みとして「ホワイト空き家不動産」を提案した。戦後の住宅不足による大量供給の時代から転換し、現在は少子高齢化に伴う人口減少などを背景に、空き家が大きな社会問題となっている。こうした空き家を解体し新たに建築することが繰り返されれば、これまで培ってきた町並みや歴史的風致が失われてしまうことが懸念される。我が国の文化を継承するためには、解体をするのではなくストックの活用を行っていくことが必要なのではないだろうか。しかしながらストック活用が進まない原因として行政や民間による空き家への介入が難しい現状がある。本提案ではまちの空き家に対して責任を取る新たな組織を「ホワイト空き家不動産」と定義し、官民連携によるスキームのもと、空き家活用や移住支援を通して定住人口の増加による地域の資金循環を生み出す維持管理産業の育成を提案する。併せて、4つの空き家活用を起点に、まちに点在する空き家を一体で活用することで、交流居住、関係人口を通した新たな移住促進を行う。こうした解体させない責任ある維持管理産業の育成を通して解築学を可視化することを目指した。
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