形状記憶材料の先駆的な研究に取り組んできた機械学科・戸伏壽昭教授(現・本学客員教授)の定年退職を記念し、国内外の研究者から最新の研究成果が寄せられた学術書が出版されたほか、本学の本山キャンパスで国際ワークショップが開催されました。昨年8月に戸伏教授がカナダで開催された学会に出席した際、香港の研究者から記念書籍出版などの提案があり、機械学科の松井良介准教授と武田亘平講師が中心になって準備を進めてきました。
学術書は英文241ページで「Advances in Shape Memory Materials(形状記憶材料の最新研究)」の書名でドイツのSpringer社から出版されました。編者に名を連ねた松井准教授、武田講師をはじめ、日本、フランス、中国、ポーランド、香港の形状記憶材料研究者16人が第一著者となり、計18の論文を寄せています。本書はSpringer社が発行する「Advanced Structured Materials(先進構造材料)」シリーズの1冊となっており、定価129ドルで同社ホームページなどから購入できます。
国際ワークショップは日本機械学会の分科会が主催し、3月27、28日に本山キャンパスで開かれました。形状記憶材料の基本特性から応用・開発まで多岐にわたる内容で、前記学術書の論文著者を中心に21人が口頭発表、2人がポスター発表を行いました。戸伏教授も記念講演を行い、これまでの研究活動での経験や若い研究者に伝えたいことなどを語りました。
戸伏教授による形状記憶材料の力学的特性に関する研究は世界的に高く評価され、特に形状記憶ポリマーの形状固定性と形状回復性を評価する指標は国際標準的に使用されています。国際ワークショップでは懇親会も催され、国際色豊かな研究者たちが戸伏教授の長年の労をねぎらいました。松井准教授と武田講師は「ご退職に際し、素晴らしい書籍の発行とワークショップの機会をお贈りできたことをうれしく思います。いずれもタイトなスケジュールにもかかわらず、執筆・発表にご協力いただいた先生方に心から感謝します」と話しています。