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ユビキタス情報処理研究室の2人に情報処理学会学生奨励賞

2018.04.18 受賞・表彰
  • 学生奨励賞を受賞した宮脇さん(左)と野々村さん

情報科学科ユビキタス情報処理研究室(梶克彦准教授)の宮脇雄也さん(現在大学院1年)と野々村太志さん(同2年)が、3月13~15日に早稲田大学西早稲田キャンパスで開催された情報処理学会第80回全国大会で、それぞれ学生奨励賞を受賞しました。

宮脇さんは「こだわり行動からの切替促進システムの基礎検討」と題して発表を行いました。発達障碍児には、食事の時間が来てもDVDを視るテレビの前から動かない―などの「こだわり行動」が多く見られ、集団生活を送るうえでの障害となります。このため、心理的な苦痛をできるだけ与えずに「こだわり行動」からの切替を促すシステムを検討しました。

提案したシステムでは、例えばこだわり行動がDVD視聴である場合、DVDプレーヤーのリモコンに振動する装置を取り付け、テレビの側に音声支援装置を設置します。親などの支援者が子供のDVD視聴(こだわり行動)をやめさせたいとき、赤外線式の遠隔操作により子供が手にしているリモコンを振動させ、続いてテレビの側のスピーカーから切替行動を呼び掛ける音声を再生させます。こだわり対象物が振動することで、子供は呼び掛けを聞く準備に移行でき、あたかもこだわり対象物がしゃべっているような呼び掛けで心理的な安心感が得られるとしています。

宮脇さんは「安全に使えるシステムにしなければならず、気を配りました。発達障碍児の暮らしを支えたいという気持ちが評価され、うれしく思います」と話しています。

野々村さんは「子供のモビリティモデル構築のための一検討」と題して発表しました。子供の行動を把握し、見守りや避難経路の検討などに応用する研究が各所で進められています。こうした研究を進める上で、実際の子供の行動データを収集することにはコストがかかります。野々村さんは、子供の行動をシミュレートして実際の行動データの代替とするため、子供の行動を模擬するモビリティモデルの構築に取り組みました。

まず、実際に地域のイベントに来場した7~12歳の子供たち計60人にGPSロガー(GPSを利用して移動ルートを記録できる小型のアイテム)を貸与し、モビリティモデル構築のためのデータ収集実験に取り組みました。この結果、子供には「遊具ごとに遊ぶ時間や範囲に傾向がある」「次の遊具へ向かって歩いているときに稀に寄り道をする」などの特徴があることが分かりました。得られた特徴量を基に、移動速度、滞在時間、滞在範囲をパラメータとしてシミュレーションシステムに入力し、モビリティモデルを構築しました。

野々村さんは、今後の課題として、今回とは異なる環境で収集したデータとの比較や、漫然歩行と寄り道の処理をモビリティモデルに反映することなどを挙げています。「研究内容がキャッチ-であることも評価されたと思います」と喜びを話しています。

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