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IWIN2019で本学の発表者が3つの受賞

2019.11.29 受賞・表彰

 ドイツ・ハンブルクで9月9~11日に開催された国際学会IWIN2019 (International Workshop on Informatics 2019)で、本学情報科学科の発表者が3つの賞を受賞しました。

①【Best Paper Award】

「Failure prediction considering interaction between servo motors of FA equipment」(FA機器のサーボモータ間相互作用を考慮した故障予測)

受賞者: 芳賀正憲(大学院経営情報科学研究科博士前期課程1年)、筒井和彦(三菱電機)、梶克彦(准教授)、内藤克浩(准教授)、水野忠則(客員教授)、中條直也(教授)

②【Best Industrial Paper Award】

「Consecutive position control for spindles in CNC equipment」(CNC=コンピュータ数値制御=機器におけるスピンドルの連続的な位置制御)

受賞者(大学関係者のみ):筒井和彦(大学院経営情報科学研究科博士後期課程2年、三菱電機)、中條直也(教授)、水野忠則(客員教授)

③【Student Award】

「Implementation and Evaluation of Prompting Changeover System from Repetitive Behavior」(こだわり行動からの切替促進システムの実装と評価)

受賞者:宮脇雄也(大学院経営情報科学研究科博士前期課程2年)

①の研究は、組込みシステム研究室(中條直也教授)に所属する芳賀正憲さんが発表を行いました。

 工場などで生産に利用されるFA機器の故障はダウンタイムを生み、大きな損失となります。近年、機器の状態を監視し、故障を予測することで必要な時にメンテナンスを行う予知保全が注目されています。予知保全には必要なセンサ数、設置するための空間の確保という問題があります。ベアリングの錆や異物の混入などで異常が起こった時、関節部が振動するはずです。この振動のような相互作用が伝わるのであれば、あるリンクに設置したセンサで他箇所の異常なデータを観測することができると考えます。本研究ではパラレルリンクロボットに対象を絞り、リンク間の相互作用を利用することで、より少ないセンサでの故障予測 が可能であることを発表しました.

 芳賀さんは「今回の受賞は、三菱電機株式会社と本学のプロジェクト共同研究 として行った結果であり、このようなプロジェクト研究の機会を作っていただいた大学に感謝します。この研究を発展させて、より高度なFAシステムの実現につなげていけるように取り組みを続けていきます」と話しています。

②の研究は、組込みシステム研究室に所属し、三菱電機に勤務する社会人学生の筒井さんが発表を行いました。

 近年、工場自動化の分野で高い生産性を達成するために、CNC(コンピュータ数値制御)を用いた工作機械はより高度な機能が必要となってきており、その中でも高速回転するスピンドルモータの性能と機能性が重要になっています。従来、スピンドルの制御に用いられるのは速度制御だけでした。しかし、高度なスピンドル機能を持つシステムの数が増加するにつれ、様々な加工モードを可能にするために、位置制御と速度制御の切り替えが必要になってきています。スイッチング制御ループに必要な時間と複雑さは、工作機械の生産性向上のボトルネックになっています。研究では、これらのボトルネックを解消するために、スピンドルの連続的な位置制御を行う手法を提案しました。

 筒井さんは「本研究は、これまでの主軸モータ制御の既成概念を振り払い、いかに生産性を上げるかということに立ち返って実現手法を追求した結果となっています。実現するに当たっては、細かい仕様の作り込みなど苦労した点が多かったですが、結果として成果を挙げることができ、かつ、このような賞をいただけて大変光栄に思っています」と話しています。

③の研究は、ユビキタス情報処理研究室(梶克彦准教授)に所属する宮脇さんが発表を行いました。

発達障がい児は行動の切替が苦手であるという特性があり、日常生活を送る上で切替の促進が望まれています。切替時の発達障がい児とその支援者、双方に対する切替負荷の低減が必要であり、本研究では、対象者に対して音声や振動などを用いて切替の支援をする装置を提案し、それを用いた支援方法について評価を行いました。切替が必要なタイミングに、支援者が装置を操作すると、対象者が注視しているこだわり対象物が音声や振動の支援を行い、あたかもこだわり対象物が支援を実施しているように感じさせます。被験者家庭で継続して提案支援を行い、継続した支援による対象者の変化を記録しました。支援者が記録した切替結果とビデオ録画を用いて評価した結果、対象者の体調が大きく影響しますが、長期的な支援の実施により、切替の難しさが減少し、切替が成功する回数が増加していくことがわかりました。

 宮脇さんは、「発達障がい者の課題である『こだわりからの切替の難しさ』に着目し、『こだわっている対象物が支援をしたら切替の難しさが軽減されるのではないか』という考えのもと、考案した支援装置を用いた支援について評価まで行いました。提案している支援は、とりわけ児童期の支援として導入しやすく効果的な支援になるのではないかと考えています。現状1事例のみの評価となっており、他の事例でも導入できるかに関しては今後改良を重ね、たくさんの方に支援を実施してもらう必要がありますが、私の研究で、1人でも多くの問題を抱えている子どもたちや支援者の助けになればうれしいです」と話しています。

  • Best Paper Awardを受賞した芳賀正憲さん
  • Best Industrial Paper Awardを受賞した筒井和彦さん
  • Student Awardを受賞した宮脇雄也さん
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