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情報科学科の梶准教授らの論文が情報処理学会の特選論文に

2021.02.05 受賞・表彰

 情報科学科の梶克彦准教授と梶准教授のユビキタス情報処理研究室に所属した磯村奎介さん、高井飛翔さんの3人によって情報処理学会の論文誌ジャーナル第62巻1号に掲載された論文「気圧センサを用いたステップ認識手法」が、特選論文に選出されました。

 人の歩行をスマートフォンなどで認識する際には加速度センサを用いるのが一般的ですが、気圧センサを用いても歩行認識が可能であると発見したのが本論文の貢献です。もともと気圧センサは高さ方向の移動を検出できるため、平地の歩行と階段の歩行を区別できるようになります。

 歩行者のステップ認識は、屋内位置推定の一手法である歩行者自立航法(PDR)の構成要素として利用されているほか、歩数計・活動量計といったヘルスケアアプリケーションの根幹を担っています。同研究室では一般的な加速度センサの代替として、角速度や磁気センサによって腰回転をとらえてステップ認識を行う手法を提案してきました。本論文では気圧センサを利用したステップの認識を行う手法について提案し、「スマートフォンを手持ちして意識的に腕振りをした場合」「密閉型の腰巻きケースにスマートフォンを装着した場合」「ズボンのポケットに装着した場合」などについて、気圧センサの値が歩行にともなって周期的に変化する現象を発見しました。

 この周期的な変化を、デジタルフィルタ・極値発見・閾値処理といった単純なアルゴリズムでとらえてステップ認識を行った評価実験の結果、推定誤差7.5%程度のステップ推定が可能であると確認できました。

 たとえば活動量計は歩数や階段昇降といった情報から計算できるため、従来の活動量計はステップを加速度センサから取得し階段昇降は気圧センサから取得しますが、本論文の成果を導入すれば、気圧センサのみによる活動量計の実現が期待できます。このような代替センサによるセンシングは、デバイスやシステム構成時に必要となるセンサ数の削減による省電力化、デバイス小型化、コンピュータリソースの開放につながります。

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