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前川夏菜(愛知工業大学),児玉健太,生津資大教授(京都先端科学大学 工学部ナノメカトロニクス研究室)が日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門優秀講演論文表彰を受賞

2021.03.01 受賞・表彰

 大学院工学研究科博士前期課程2年の前川夏菜さんが、「Al/Ni発熱多層膜とはんだ膜の自立化が瞬間接合体の熱・機械信頼性に及ぼす影響」の研究発表で、日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門優秀講演論文表彰を受賞しました。この賞は、マイクロ・ナノ工学部門主催の講演会および年次大会での発表から、研究内容が特に優れている論文の著者全員を表彰するものです。2020年9月にオンライン開催された同学会年次大会での発表内容が評価され、受賞に至りました。

 微小外部刺激の付与で瞬間的に自己伝播発熱するAl/Ni(アルミニウム・ニッケル合金)多層膜を用い、0.1秒未満で2枚のウェハを接合する独自技術を開発しています。この技術はデバイス実装のプロセスタイムおよびコストの大幅削減が見込める省エネかつエコな技術です。しかし、接合部にはボイド(空隙)やクラックが残り、接合部の強度と熱抵抗が悪化する課題があります。この研究では、Al/Ni多層膜をはじめとする接合材料の構成を最適化し、NiAl-はんだ界面のボイドとNiAl内部のマイクロクラックを大幅に減少させることに成功しました。この成果は接合強度の向上と熱抵抗の低下をもたらし、近い将来、環境問題に配慮しつつ、次世代の半導体デバイスチップ製造工程に一石を投じる新技術になるものと期待できます。

 「私たちの研究成果が日本機械学会に認められてとても光栄です。新しい研究への挑戦は困難の連続でしたが、頑張ってきて良かったです。私たちの技術で皆さんの生活が少しでも豊かになれば嬉しいです」と前川さんらは喜びを語っています。

  • 受賞した前川夏菜さん(中)ら=京都先端科学大学で
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