NEWS詳細

電力システム工学研究室の院生3人がYOC各賞を受賞

2022.11.08 受賞・表彰

 電気学科の電力システム工学研究室(七原俊也教授)に所属する大学院博士前期課程1年の3人が、9月7〜9日に福井大学で開催された令和4年電気学会電力・エネルギー部門大会で、若手(29歳以下)の優れた口頭発表に対して贈られるYOC(Young engineer Oral presentation Competition)各賞を受賞しました。3人は、YOC優秀発表賞を受賞した山田康暉さん、YOC奨励賞を受賞した青木祥さん、伊坂悠吾さんで、「ご指導いただいた先生方、研究室メンバーのおかげ。今後も研究に精進していきます」と喜びを話しています。

 3人の論文の概要は以下の通りです。

■山田康暉「インバータ電源大量導入時における電力損失 - 一機無限大母線系統に対する分析 - 」

近年、増加傾向にある太陽光発電や風力発電は、比較的、電圧階級の低い電力システム末端部に接続される場合が多く、線路抵抗が大きくなる傾向があります。そのため逆潮流による送電損失の増加が懸念されています。本研究では、インバータから供給する電力と受電端に届く電力の差により評価した送電損失について分析を行いました。このため、基礎的な系統モデルにおける送受電端の電力を示す理論式より電力-電圧特性の作成を行いました。その結果、インバータ無効電力を一定とした時の受電端に届く最大電力は、線路抵抗によらず一定となることを明らかにしました。

 ※ひとこと「今回の発表は、再エネ電源の導入量が増加しているなかで、とても重要なテーマだと考えています」

■青木祥「電力系統の経済負荷配分制御の特性改善 - 制御周期が制御性能に及ぼす影響の分析 - 」

近年、地球温暖化問題の対策として、太陽光や風力などの再エネ電源が増加しています。しかし、再エネ電源の出力は変動が著しく正確な予測が困難なため、電力システムの需給バランス維持が難しくなる恐れがあります。需給バランスが崩れてしまうと周波数が乱れ、最悪の場合、広域的な停電(ブラックアウト)が発生する可能性があります。このため、電力系統の需給制御システムの性能の向上が求められています。そこで本研究では、需給制御システムのうち、変動周期十数分以上の変動を対象とする経済負荷配分制御に着目し、分析を行いました。その結果、制御周期を短くすることなどで需給バランスが改善されることを明らかにしました。

 ※ひとこと「2050年のカーボンニュートラル達成を目指していく中で、電力系統の周波数を維持するための重要のテーマの一つであると考えています」

■伊坂悠吾「系統周波数低下時におけるVirtual Oscillator Controlインバータの動作解析」

再生可能エネルギーによる発電が急増し、その多くはインバータを介して電力系統に接続されています。従来のインバータ電源が増加すると、電圧維持能力の低下、慣性の減少などにより系統が不安定になる恐れがあります。このため、同期発電機と同様の特性を有する電圧制御インバータが注目されています。Virtual Oscillator Controlインバータ(以下、VOC)は新しく提案されたインバータであり、そのメカニズムが他のインバータと根本的に異なることもあり、その特性は十分には解明されていません。そこで本研究では、電力系統の周波数低下時におけるVOCの動作について解析を行い、その結果として周波数低下に際し、VOCが周波数維持特性を有していることを明らかにしました。

 ※ひとこと「まだ多くの課題が残っているためこれからも多くの人の助言をいただきながら研究に励んでいきたいと思います」

  • 山田康暉さん
  • 青木祥さん
  • 伊坂悠吾さん
PAGE
TOP