日本建築学会の2023年度設計競技で、建築学科の計画系研究室(中井孝幸教授)の1チームが全国表彰の優秀賞とタジマ奨励賞、都市計画・まちづくり研究室(益尾孝祐准教授)の1チームがタジマ奨励賞を、それぞれ受賞しました。本年度の設計競技は「環境と建築」がテーマとなり、全国公開二次審査会で作品が発表されました。このほか中井研から2チーム、益尾研から4チームが、それぞれ支部入選となりました。
全国表彰された作品の概要は次の通りです。
■優秀賞・タジマ奨励賞
中井研4年:髙橋知来さん、方山愛梨さん、渡部美咲子さん
徳島県を流れる吉野川の流域沿いでは、河川の洪水被害とともに、肥沃な客土が良質な藍の生産を支えた。しかし、堤防完成により川と街が分断され、かつての生業風景は失われた。そこで本提案では、かつて藍産業で栄えたうだつの街並みから延びる舟運の痕跡を頼りに、堤防に対して3つの桟橋をモチーフにした建築を挿入し、その間を生業拠点として再編する。それにより川と街をつなぎ、藍を介した新たな水との関わり方を再考する。
■タジマ奨励賞
益尾研4年:青山紗也さん、内田澪生さん、橋場文香さん、妙見星菜さん
三重県尾鷲市三木里町は、過去に幾度もの津波による被害を乗り越えてきた集落である。しかし、近年は暮らしやすさを求め、生活の中心が山側の高地から海側の低地へと移り変わってきた。住民が災間を生きていることを忘れつつある今、私たちが提案すべき環境は日常だけでなく非日常となる災害時にもあるのではないか。日常と非日常に存在する課題を併せて「環境」と見なし、建築とまちづくりを通して双方の課題を解決する提案を行うことで、国土強靭化の代替案として「災間を生きる柔軟でしなやかな集落」の実現を目指す。