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測量研究室の竹内祐太朗さんに日本写真測量学会奨励賞

2023.11.14 受賞・表彰

 「地すべり移動体の深層生成とその不確実性評価と性能向上手法」に関する研究に意欲的に取り組み、今年3月に大学院博士前期課程を終了した竹内祐太朗さんが、日本写真測量学会の学会奨励賞を受賞しました。

 測量研究室(山本義幸土木工学科准教授)に所属した竹内さんは、在学時に投稿した論文「空間的不均一性・連続性に関する正規化処理による地すべり移動体の深層生成」と「深層学習モデルによる地すべり移動体の画像生成における不確実性評価と性能向上手法の提案」が受賞の対象となりました。

 この研究は,人工知能を利用して地形情報から地すべり域を求めるものです。地すべり域は、基本的には専門家が空中写真から判読するもので、それは職人芸のように経験や勘が必要となります。このため、処理には特定の人を頼り、かつ時間もかかります。これに対して、人工知能による機械的処理で低コスト化を図れないかーというのが、研究の目的でした。

 地すべり域を人工知能で抽出するにあたっては、学習データの収集が大きなハードルとなります。また、そのデータもばらつきが大きく、学習データとしては不十分・不適切になりがちです。そこで、地すべりのサイズなどでデータを整理することで学習しやすくする手法を開発しました。また、人工知能ならではの不確実性を確認するなど、実利用上の課題を提示し、その解決案を明らかにしました。

 現在、地理空間情報の最大手の株式会社パスコ( https://www.pasco.co.jp/ )で働く竹内さんは、研究時を振り返りながら「私は土木工学科の出身であり、機械学習はおろか、簡単なプログラミングでさえ、ほとんど触れてきませんでした。しかし、大量のデータを扱う機械学習をテーマとして扱うには、簡単なプログラムがかけるようになり、ある程度コードを読めるようにならなければなりません。そこで、研究を始めるにあたってまず始めたことといえばプログラミング(Python)の勉強でした。四則演算から勉強を始め、あの手この手を駆使ながら何とか1年足らずで自分のテーマ内ならばなんとかなるまで習得しました。プログラミングの専門家には遠く及ばないものの、このスキルは就職した今、とても武器になると感じています」と話しています。

  • 日本写真測量学会奨励賞を受賞した竹内祐太朗さん(右端)
  • 左端列のCS立体図(地形の様相を色の違いで表現した図)と地すべり域のペアを,地すべり域の面積占有率(5%,10%,15%,均等)でまとめて学習した人工知能による推論結果(右から4列の画像)と正解画像(左から2列目の画像)。図中の黒塗りつぶし箇所が地すべり域。
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