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上羽牧夫教授が日本結晶成長学会の業績賞および赤﨑勇賞を受賞

2017.12.06 受賞・表彰
  • 業績賞および赤﨑勇賞を受賞した上羽牧夫教授(右)。左は日本結晶成長学会の柿本浩一会長

 基礎教育センターの上羽牧夫教授が「ステップの動的挙動に関する理論的研究」により、日本結晶成長学会の最高賞である第12回業績賞および赤﨑勇賞を受賞しました。授賞式は11月28日、浜松市のホテルコンコルド浜松で開催された第46回結晶成長国内会議の席上行われました。

 結晶成長学は理学や工学だけでなく薬学、生物学、医学まで包含する学問分野で、ノーベル賞受賞者となった赤﨑勇先生が第1回業績賞(2006年)を受賞しています。賞は2010年の第5回から、赤﨑先生が寄贈した2009年京都賞の賞金の一部を基に「業績賞および赤﨑勇賞」となりました。

 上羽教授は、結晶成長の理論的研究により結晶成長学の発展に顕著な業績を上げました。原子(分子)が規則正しく整列した結晶で、表面にできた原子1層分の段差をステップと呼びます。ステップが前進すると結晶は成長し、後退すると溶解します。このステップに働くさまざまな力とステップの運動の関係を理解すると、置かれた環境の変化によって結晶の形がどのように変わっていくかが分かります。これを物理学の基礎的な法則に基づき、計算機シミュレーションなども活用して理論的に調べたのが、受賞対象の「ステップの動的挙動に関する理論的研究」です。

 まっすぐなステップが等間隔に並んだ表面も、成長が始まるとステップが蛇行したり、束になって大きな段差を作ったりして、結晶の形は生き物のように変化します。この法則を理解すれば、結晶成長を使い、表面加工よりはるかに小さなサイズで表面の形を変えられます。またこのような研究を基に環境条件を制御して、量子ドットと呼ばれる1億分の1メートルサイズの結晶を作ることができるようになるなど、最先端ナノテクノロジーの基礎となっています。

 業績賞および赤﨑勇賞で、理論分野から受賞したのは上羽教授が初となります。「物理学の基礎的な立場からの結晶成長学への貢献を高く評価していただけた」と上羽教授は喜びを話しています。

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