TQM(総合的品質管理)に関する優れた書籍を日本科学技術連盟デミング賞委員会が選考し、日本経済新聞社が表彰する日経品質管理文献賞を、本学経営学科の仁科健教授が受賞しました。
書籍は、培風館から出版された「スタンダード品質管理」で、仁科教授が前職の名古屋工業大学経営工学分野の学部・大学院・社会人教育で行った講義内容と、共著者である川村大伸氏、石井成氏と協力して取り組んだ研究室での研究成果を基にしています。
3部構成で、第1部では「品質管理とはものづくりにおけるばらつきへの挑戦である」とし、 "市場に出るまでのばらつき"、"市場に出てからのばらつき"、"市場での満足感のばらつき"を低減するための対策の体系化と、データ解析の重要性を解説しています。第2部では、第3部の事例のための準備として、データ解析の考え方と進め方を、観察データによる仮説生成と計画データによる仮説検証の解析スタンスの違いから紐解いています。第3部では、品質経営、および企画、設計、製造における品質管理に関する13事例(経営品質活動の成果の因果構造、品質の市場調査、感性品質の計量化、シミュレーション実験の計画、工程改善など)を解説しています。
受賞に際し、仁科教授は「学生時代を含めて47年間在籍した名古屋工業大学を定年退職するにあたって、これまでの講義録や研究室の研究成果をまとめておきたいというモチベーションから、同僚であった川村大伸氏(名古屋工業大学准教授)と石井成氏(名古屋工業大学助教)の協力を得て本書を執筆しました。それだけに本書には思い入れがあり、上梓できたこと自体に格別の達成感があります」と述べています。本書の"売り"について、仁科教授は「研究室の研究成果をまとめた第3部の事例にある」としており、「その意味で、研究のパートナーであった研究室の卒業生とともに受賞を喜びたい。もちろん本書は本学経営学部での品質管理論やセミナーの講義に使っており、本書を通じて、ものづくりのマネジメントの一端を本学学生にも伝えることができればと思っています」と意気込みを話しています。