河川・森林・海洋の環境をマクロとミクロな視点で繋ぐ。
河川流域での浸水被害を削減する対策評価と水質を観測しながら汚濁を発生させる原因を特定し、対策評価することがテーマです。この研究を進めるためには、河川だけでなく森林、海洋を含めた大きな視野で取り組むことが必要。河川を通して、人が安全に暮らせる環境づくりに貢献していくことが目標です。
学生には自主的・能動的に学習するための教育を実践。疑問をもち、解決のための手順を自ら構築し、実施することが望ましいという。
土木構造物の余寿命を明らかにすることをめざして。
高度経済成長期に建設された土木構造物の老朽化が進む中、それらをどのように維持管理していくかが重要な課題となっています。当研究室では目視点検が困難な鋼とコンクリートの接合部などを対象に、損傷した箇所の余寿命を明らかにすることをめざした研究を実施。また、補修工法の有用性についても、企業の協力を得ながら研究しています。
専門分野は、構造工学、構造解析学。研究を通じて、人々の生活に不可欠な社会基盤の長寿命化への貢献をめざす。
川の生物の生態調査を通して、生物学的観点から土木を考える。
2017年から豊田市矢作川研究所の「天然アユ生態調査実行委員会」のアドバイザーとなり、矢作川の天然アユ生息環境の改善に向けて、川底の水生昆虫や貝などの調査・研究をしています。生物学的観点から土木分野を考えるのが、独自の方向性。この調査・研究が地元の漁業や観光の振興に役立つことを期待しています。
専門分野は河川生態学など。アユが生き生きと泳ぐ昔の矢作川に戻したいと日夜フィールドワークに勤しんでいる。
地盤に関する幅広いテーマを探究。常に実社会の課題解決をめざす。
「杭などの基礎構造物」「地盤改良」「地盤を掘削する際に必要となる土留め」「シールドトンネル」など、地盤に関する幅広い研究対象を扱っています。基礎研究によって重要なメカニズムなどを検証し、応用研究にまで取り組むことで、社会に貢献できる技術を構築すること、設計・施工の課題解決につなげることをめざしています。
専門分野は、地盤工学。以前は総合建設会社の研究所に約13年間在籍し、基礎・応用研究や設計コンサルティングを経験。
国際的に貢献できる技術をめざして、コンクリートの劣化抑制を研究開発。
コンクリートの劣化原因であるアルカリシリカ反応の原因究明と抑制方法について50年近く研究を継続しています。業界の方と協力し、特許や製品化を含めて最前線の研究を行っています。世界的に求められているコンクリートの長寿命化に貢献できる研究であり、大きなやりがいに満ちています。
専門分野は、コンクリート工学、土木材料学。恩師から引き継いだ本研究をライフワークとする。
街中の道路のひび割れをAIで判定。自治体と共に新技術開発に取り組む。
AIを活用し、画像分析により道路の舗装面のひび割れを正確に判定する技術を開発しています。具体的には、実際に街中を車で走りながら路面を撮影し、そのデータをAIで分析してひび割れ箇所を特定します。実際に、自治体と連携した実証実験を実施。道路の老朽化点検をAIでサポートできる未来を見据え、日々研究しています。
専門分野は、測量学、地理空間情報工学。AIによる景観向上支援なども研究している。
“水文学(すいもんがく)”の研究で、未来の河川と海を守る。
雨や雪などによって地上に落下する水は、さまざまな経路を通って川に集まり、やがて海に流れ込み、さらに蒸発して大気中に戻っていきます。その過程を追究するのが水文学という領域。あまり聞きなれない学問ですが、河川整備や洪水対策、流域土地利用の管理などに欠かせない研究として発展を続けています。そんな幅広い水文学のなかでも当研究室が力を入れて取り組んでいるのが、河川の水質改善です。たとえば最近、伊勢湾のアサリやコウナゴ、海苔などの収穫量の減少がメディアで取り上げられましたが、これには河川を通して流入する物質量が深く関わっています。下水道の整備や工場排水処理によって、これまでは流入地点が特定できる工場や生活排水などのポイントソースからの汚濁物質を削減することにより水質改善を進めてきましたが、近年の河川や湖沼の水質改善はあまり進んでいません。研究室では、ここにメスを入れる研究を進めています。
山林・農地などの地表面や市街地の道路・屋根面などに晴れている間に降り注いで堆積し面的に分布する汚濁物質の発生源をノンポイントソースと呼びます。
これらは降雨によって洗い流されて河川を通して湖沼や海域に流入することで、水質環境に影響を及ぼします。
有機物質も窒素もリンも、適度な量であれば生物の栄養源になりますが、過剰になるとアオコや赤潮の原因となるのです。都市部では建築物やアスファルト舗装によって降雨が地中に浸み込みにくくなり、雨水流出量が増大して浸水の危険度が増しています。
同時に、こうした汚濁物質の量も増えているため、雨が降った時の雨水および汚濁物質の流出経路の解明と、その削減対策の立案と評価が急がれているのです。
10年先、50年先の日本のために、この研究を進めることが私たちの使命です。
アンケート調査や現地調査などを行って、より良い都市計画、防災計画の策定や評価方法などについて考えている。
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