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電力システム工学研究室(雪田研究室)の院生2人が電気設備学会全国大会で優秀発表賞

2022.12.23 受賞・表彰

 9月に関西大学千里山キャンパスで開催された2022年(第40回)電気設備学会全国大会で、電力システム工学研究室(雪田和人電気学科教授)に所属する院生2人が、それぞれ優秀発表賞を受賞しました。

 2人は、大学院博士前期課程2年の池田和樹さんと倉橋潤さん。受賞に当たり、「雪田先生や共同研究先の方々のご指導のおかげと感謝しています。これを励みに今後も研究に取り組みます」と喜びを話しています。

 受賞研究の概要は以下の通りです。

■池田和樹「直流給電用AC/DCコンバータの入力電流高調波に関する検討」

 近年、注目されている直流給電システムでは、電力系統と接続するための交流-直流変換器(AC/DCコンバータ)が必要不可欠であり、AC/DCコンバータでは、変圧器の一次側に高調波が発生するため、低減が求められています。

 筆者らはこれまでに、特殊巻線構造を用いて多相化した変圧器をAC/DCコンバータに利用した際の、高調波低減効果に関して検討を行ってきました。本検討では、より詳しく高調波低減効果に関して検討を行うために、コンバータ負荷率に対する各次数の高調波電流の変化に関して検討しました。その結果、変圧器を利用したAC/DCコンバータで発生する高調波電流は、変圧器の励磁電流により発生する高調波電流と負荷により発生する高調波電流に分けられ、変圧器の励磁電流によって一次側に発生する低次の高調波電流は負荷の上昇によってほとんど変化せず、整流回路によって発生する高調波電流は負荷の上昇に伴い増加することが分かりました。

■倉橋潤「太陽光発電装置でのアーク故障時に発生する高周波ノイズの電極間距離および電流依存性に関する実験的検討」

 近年、太陽光発電装置の大量導入により、そこで発生するアーク放電事故が問題になっており、アーク事故が発生したときの早期検出および事故防止のための技術が求められています。また、アーク放電発生時には回路に高周波ノイズが重畳し、そのノイズはアーク放電の検出に用いることができます。

 本検討では太陽光発電装置で発生するアーク放電を模擬した実験を行い、その時に発生する高周波ノイズ(アークノイズ)の特性を調査しました。その結果、電極間距離および電極間電圧を変えても発生するアークノイズの周波数特性は変わらず、アーク発生中の電流にのみ依存するという結果が得られました。また、アーク発生中の電流が大きいほど、アークノイズの大きさは小さくなることもわかりました。

  • 賞状を手にする池田さん
  • 実験システム
  • 高調波測定結果例
  • 「高周波ノイズ(アークノイズ)の原理・特性については未知な部分が多く、発表を通してさまざまな方と議論することで新たな発見がありました」と倉橋さんは話しています。
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