INTERVIEW
「マイクロRNA」の機能を調べ
次世代の抗がん剤を開発したい
工学部 応用化学科 バイオ環境化学専攻 4年
あかほり
赤堀ひかる
静岡県 浜松市立高等学校出身
幼少期からの夢を叶え
がん治療につながる研究に挑戦
私が所属する研究室では「マイクロRNA」を用いて次世代の抗がん剤を開発するための基礎研究に取り組んでいます。「マイクロRNA」は、生物の遺伝子情報を司る核酸のひとつ。細胞の増殖や遺伝子発現の制御といった機能を持ち、この一部の発現低下ががん細胞形成の要因として認められています。がんの根源的な治療に役立つ可能性を秘めた研究であり、医薬品への応用が期待されています。 私はこの研究に関連した実験と向き合う毎日を過ごしています。もちろん実験をしていると、仮説通りに反応しなかったり、得られる目的物質が理論上よりも少なかったりと、失敗に終わることも多くあります。そんな時にも、これまで学んできた知識や経験から原因を考察し、次の成功につなげられるところが研究の魅力だと感じています。 幼い頃に身近な人をがんで亡くして以来、新しい抗がん剤をつくることが私の目標になりました。そのためには化学と生物学の知識を併せて学ぶことが重要だと考え、バイオ環境化学専攻を選択。現在は、未来のがん治療に貢献できる研究に携われているので、幼少期からの夢が叶う喜びを感じています。夢を持っていたからこそ、有意義な大学生活を過ごすことができました。 今後は大学院に進学する予定です。将来的には現在の研究から得た知見を活かして、がん治療のみにとどまらず幅広く医療分野の研究職として活躍したいと考えています。
わたしのAIT 活動
卒業研究の前段階として、糖の構造を変換させることによって新たな化合物をつくる実験に取り組んできました。ここでは、1年次から実験の進め方や機材の使い方を学ぶことのできる「有機化学」という授業が非常に役立ちました。新しい可能性を追究している現在の研究では、実験の進め方や設定条件から自分で考えなくてはなりません。なかなか思うような結果が出ない日々が続くこともありますが、根気強く失敗を繰り返しながら少しずつ成果を積み重ねることに達成感を覚えています。
毎日の実験内容をメモしたノート。大学生になってから、何事も
自分で調べる癖がつきました
INTERVIEW
すべての人が快適に運転できる
自動車を開発するのが夢
工学部 機械学科 機械創造工学専攻 4年
しばた みずき
芝田瑞紀
愛知県立豊田西高等学校出身
新型車椅子の実用化に向け
利便性の改善に取り組む
高校で開催された女性技術者の方々による講演会が、私にとって人生の大きな転機になりました。それまではものづくりへの関心が薄かったのですが、自動車業界で活躍する女性の話に憧れ、自分も挑戦したいと考えるように。なかでも工学部機械学科を選んだのは、機械の基本から分野ごとの応用技術まで幅広く学べるところが魅力的だったからです。
私の研究室が取り組んでいるテーマは「ジョイスティック型6輪電動車椅子」です。現行の2輪車椅子は、180°回転するために大きな弧を描く必要があり、狭いスペースでの方向転換が難しいという課題を抱えています。しかし、6輪電動車椅子では、中央のタイヤにモーターをつけることで、その場で回転することが可能になります。研究室での私の役割は、この車椅子の実用化に向け、座席の利便性を改善したり、段差を乗降する際の負担感を和らげたりすること。そのために、車椅子に乗ったユーザーの重心がどこにあるのかといった基本的なところから学んでいます。
大学の授業では、自動車のレストアも経験しました。車体に空いた穴を埋める、塗装をするといった工程を通し、車が元の姿を取り戻していく姿に感動を覚えました。将来は、研究中の福祉分野の知識と授業で学んだ自動車の知識を併せ、多様な背景を持つ人々が快適に運転できる自動車をつくりたいと考えています。いつの日か、自分が携わった車でドライブできることを楽しみにしています!
わたしのAIT 活動
3年次に履修した「機械工学実験」という授業が印象に残っています。すでに証明されている物理法則について、実験しながら学んでいくという内容でした。1年間を通じてチームでの実験と発表を繰り返した経験は、現在取り組んでいる車椅子の安全性についての研究でも活きています。同時に、普段は何気なく使っている機械が、力学や熱といった無数の知識の結晶であることを改めて実感。視野が広がる喜びを知ったことで、地元のPR大使など、何ごとにも挑戦してみようという気持ちが芽生えました
「ジョイスティック型6輪電動車椅子」の土台部分。車椅子利用
者の負担を減らすために工夫を凝らしています
INTERVIEW
地盤から防災に貢献し
人々の平和な日常を守りたい
工学部 土木工学科 防災土木工学専攻※ 4年
こうの きよか
河野清か
愛知県立安城高等学校出身
陰ながら建造物を支える地盤の
試験精度と効率性を高める
巨大な建造物が倒れずに自立し続けているのを不思議に思ったことはありませんか?ここでは、私たちの目に触れない地盤が重要な役割を果たしているのです。
建物は通常、地面に杭を刺すことで固定されています。倒壊を防ぐためには、事前にその杭が長年建物を支えられるかどうかを確認しておかなくてはなりません。私は現在、そこで用いられる試験について、より精度と効率性を高めるための研究を進めています。
私が防災に関心を持ったきっかけは、2016年に発 生した熊 本 地 震です。 県内に親戚が暮らしているということもあって、ニュースで悲惨な光景を目にする度に胸が締めつけられました。大学に入学した当初の私は、防災に携わるためには都市計画を学ばなくてはならないと考えていました。しかし、恩師である渡邉康司准教授の授業を聞いて地盤からも防災に貢献できることを知り、次第に興味を持つように。地盤のプロフェッショナルから直接学び、防災という大きなテーマに立ち向かえることが研究のやりがいになっています。
今後は現在の研究を深めるため、大学院に進学します。未来ある人の命を一瞬で奪ってしまう恐ろしい災害。そうした悲劇をできるだけ減らすために、根本から人命を救う研究を続け、自分の知識と技術で人々の平和な日常を支えていきたいと思います。
※ 2024年4月、社会基盤学科都市デザイン専攻に名称変更
わたしのAIT 活動
現在取り組んでいる実験が「一軸圧縮試験」です。土の強度を調べるための手法として、土の塊の側面を拘束しながら鉛直方向に圧縮する「三軸圧縮試験」があります。この手法は精度が高いものの、非常に操作が難しい。一方、「一軸圧縮試験」は、側面を拘束せず鉛直方向のみに圧縮することで、比較的簡単に土の強度を調べることができます。研究室にはこうした特殊な実験設備が充実しているうえ、教員や先輩の手厚いサポートを受けることができます。熱意を持っていれば、どこまでも研究を深めることができますよ。
「一軸圧縮試験」に使用する装置。実験を重ねることで
初めて得られる発見がたくさんあります
INTERVIEW
研究室で実験を重ねた経験を
強みに
グローバルに活躍する
技術者をめざす!
工学部 電気学科 電子情報工学専攻 4年
うちだ さやか
内田爽
愛知県立豊田東高等学校出身
半導体の素材や外部環境を調整し
効率よく電気を流すための
条件を探る
高校生の頃から、自分が理系寄りのタイプであるということは認識していました。ただ、当時はプログラミングにも憧れていましたし、電気工学についても学んでみたいという状況。その点、愛知工業大学の電子情報工学専攻は入学してから進むべき道を決められるというところに惹かれ、入学を決意しました。入学後はプログラミングの授業にも面白さを感じていたのですが、PCの中で完結する研究よりも、手を動かしながら実験できる研究をしたいという思いが強まっていきました。
そこで私が選択したのが、半導体の実験に取り組んでいる研究室でした。スマートフォンをはじめとして、あらゆるデバイスに内蔵されている半導体。その素材や電流、電圧などを調整し、効率的に電気を通す条件を見つけ出すことが、私が注力している研究の目的です。半導体の基盤は、シリコンや金属といった素材でつくられています。そこにさまざまな条件で電気を流し、計測用の機械を用いてデータを収集。よりよい条件の組み合わせを見つけるために実験を重ねています。自分の成長を実感しているのは、実験結果のグラフを見た時に「なぜそうなったのか」を説明できるようになったことです。知識を深めるなかで理論的に読み解く力が身につきました。
卒業後は、技術者として車のホイールの量産に関わる予定です。内定先は海外にも拠点を置く企業なので、グローバルに活躍する技術者をめざしたいです!
わたしのAIT 活動
半導体実験の具体的な例として「光測定」というものがあります。これは、半導体に光を当てた場合と、段ボールを被せて遮光した場合を比較し、電気の流れ方に違いがあったかを調べる実験です。それまでは光と電流に関係があると思っていなかったのですが、実験結果から光への反応が確認できた時には驚きました。それどころか、光を当てるパターンや波長によって、電流の効率が変化するのです。電気学科には実践的な研究や授業が多く、自分が想像もしなかった発見に出会えるところが魅力だと思っています。
「光測定」の結果を示すグラフ。手順を間違えると振り出しに
戻ってしまうこともあるので慎重に扱っています
INTERVIEW
システム構築とCG技術を
組み合わせ
自分の力だけで
ゲームを制作したい!
情報科学部 情報科学科 コンピュータシステム専攻 4年
かたやま あずみ
片山あず美
三重県立四日市南高等学校出身
ゲームの技術を一貫して
修得するため
2つの専攻を横断して
学びを深める
テレビゲームで遊ぶことが好きだった私は、いつしか自分でもゲームをつくってみたいと考えるようになりました。ただ、ひと口に「ゲームをつくる」といっても、そこにはシステム構築やCGなど、たくさんの細分化された技術が詰め込まれています。そこで、入学時はシステム面を中心に学べるコンピュータシステム専攻に進み、3年次からはCG技術を修得するためにメディア情報専攻の研究室を選択しました。他専攻の研究室配属には成績が大きく影響するので勉強は大変でしたが、念願が叶って努力が報われたと感じています。
研究室では毎日が挑戦の連続です。大学独自の「学生チャレンジプロジェクト」や「東京ゲームショウ」への参加など、刺激的な環境で着実に学びを深めています。
現在は企業と連携し、トリックアートの原理を用いて相手に情報を伝達するための研究に取り組んでいます。例えば、トリックアートを使って二次元の映像を立体的に見せることで、相手に対して印象深い情報発信が可能になるのです。自ら作成したイメージをプロジェクターで投影し、想定した通りの見え方になるように調整を繰り返しています。
大学で学ぶうえで、目標を持っておくことは非常に大切です。私の場合、現在の研究室に進むことが入学当初の目標でした。次の目標は、ゲーム業界で仕事をすること。それに向けて、今後は自分の力だけでアプリゲームをつくってみたいと考えています。
わたしのAIT 活動
これからのゲーム制作において大きく役立ちそうだと感じているのは、2年次に受講した「プロジェクト演習」です。少人数でチームを組んでひとつの作品を発表するという授業で、私はそこで初めてゲームづくりに携わりました。内容は、ウサギ型の宇宙人を動かして不時着した惑星から脱出するというもの。
私はキャラクターのモデリングを担当しました。実際のゲーム制作を通じて、システム面だけでなく、ストーリーやデザインなどの重要さを学び、ゲームの奥深さを知ることができたのは貴重な経験でした。
Blenderで制作したキャラクターの3Dモデル。自分の頭の中にあ
るイメージに近づけるのに苦労しました
INTERVIEW
行動経済学の理論とAIによる
機械学習を活用し
地下商店街の活性化をめざす!
経営学部 経営学科 経営情報システム専攻 4年
なかむら ふみか
中村文香
愛知県立東海商業高等学校(現 東海樟風高等学校)出身
人々の服装と入店した店舗の
関連性を分析
高校で学んだ商業と情報の知識を、大学でさらに深めたいと思い現在の学部を選びました。これらの分野は社会で役立つ資格が多く、在学中に取得することで、将来的に活躍の場が広がるのではないかと考えたことも理由のひとつです。 いま、私が取り組んでいるテーマは行動経済学。その根底には「ナッジ」という考え方があります。これは、人々に行動を強制するのではなく、自ら選択してもらえるように誘導するアプローチのこと。費用対効果が高いことから、マーケティングや公共政策などに幅広く活用されています。 こうした行動経済学の理論を活用し、地域の活性化を目指す研究をしています。具体的には、名古屋市栄にある「セントラルパーク」という地下商店街を対象に、周辺の監視カメラの映像を調査。往来する人々の服装と、入店した店舗の関連性を分析し、データを活かして集客アップに貢献することが大きな目的です。 現在は他の研究室と連携し、AIの導入も進めています。機械学習によってファッションの定義を学んだAIに監視カメラの映像を読み込ませることで、分析の精度を高めたり、効率性を上げたりすることを目標にしています。 この研究においては、経営学だけでなく、ファッションやAI技術など多岐に渡る知識を身につけなくてはなりません。もちろん苦労することも多くありますが、知らなかった世界が広がっていくことにやりがいを感じながら勉強に励んでいます。
わたしのAIT 活動
経営学の楽しさを教えてくれる授業がたくさんあります。「ビジネスマネジメント」という講義では、毎回のように興味深いトピックを取り扱うのですが、私はそこで現在のテーマである行動経済学と出合うことができました。
プログラミングへの関心が高まっているので、今後はAIの開発に
も関わっていきたいと考えています