研究力を支える環境・設備
紫外可視近赤外分光光度計(SHIMADZU UV-3600)
試料に光を照射し、波長によって光がどの程度吸収されるかを測定することによって、新しく合成した化合物の電子状態や光物性を調べることができます。測定可能波長は185~3300nmで、溶液および固体状態での測定が可能です。クライオスタット(Oxford Instruments OptistatDN)を取り付けることにより、77~500K までの温度可変測定も可能です。これにより、溶液中での分子の会合挙動や固体中での相転移現象を観察することができます。
赤外分光装置(JASCO FT/IR-660M)
試料に赤外光を照射することで分子振動を励起することができます。その波長依存性を調べることによって、分子の構造に関する情報が得られ、また電子状態を明らかにすることができます。この装置では 350-7800cm-1まで測定が可能で、ビームスプリッターをKBrからCaF2にかえることで3000-12000cm-1の測定範囲で使用できます。溶液、KBrペレットの両方で使用でき、さらに全反射スペクトル(ATR)用のアタッチメントを装着することで固体サンプルの表面付近のATR測定ができます。
GC-TOF質量分析計(JEOL JMS-T100GC)
新しく合成した化合物の構造決定に必要な情報である「分子量」を測定する装置です。ガスクロマトグラフ(GC)型の飛行時間(TOF)質量分析計で、分子量が数千程度の化合物の分子量測定を高感度、高分解能、高速で行うことが可能です。
グローブボックス
化合物の中には空気中で酸素や水と反応してしまい、すぐに分解してしまうものがあります。また、半導体などの電子素子ではほんのわずかな欠陥がその特性に致命的な影響を与えます。そのような不安定な化合物の取扱いや精密な実験は、不活性ガス雰囲気下で行わなければなりません。このグローブボックス内は窒素ガスで満たされており、グム手袋を通して外から手を入れることで、外部から完全に遮断された不活性ガス雰囲気下で実験することができます。冷凍庫や天秤、顕微鏡なども入っており、様々な実験を行うことができます。
リサイクル分取高速液体クロマトグラフィー(日本分析工業 LC-909)
異なる分子量の化合物を分取する装置です。細孔が数多く存在する充てん剤を用いたカラムを用い、大きな溶質分子は細孔に入らないで早く流れていくことを利用して、分子の大きさによるふるい分けを行い、幾つかの分子の混合物から欲しい分子だけを単離することができます。リサイクル型で、何度も繰り返し展開することで分離しにくい混合物からも分けることができます。一度に最大で1.5gの混合物の分取も可能です。様々な種類の充てん材があり、展開溶媒を変えることや、キラルカラムでの光学分割も可能です。
マグネチックスターラー付き低温恒温槽(東京理化 PSL-1810)
有機合成反応のキーポイントのひとつが「反応温度」です。精密な有機反応では、温度を厳密に制御・管理することが必要とされます。この装置は冷媒にエタノールを用い、20℃から-80℃の範囲で1℃単位の温度コントロールが可能です。マグネチックスターラーが付いており、この恒温槽につけたまま反応をかけることができます。
自動X線回折装置 RINT2000/PCシリーズ
X線は電磁波の一種で、波長は紫外線よりもさらに短く100~0.1オングストローム(10~0.01ナノメートル)程度で、高いエネルギーを持ち、物質に照射されると一部は散乱や回折を生じ、一部は吸収されて蛍光X線を発生したりします。これらの現象を利用する分析法を総称してX線分析と呼び、新しい機能を持った光触媒などの無機・有機材料の結晶状態を精密に解析するのに威力を発揮しています。
ラマン分光光度計
物質にレーザ光を照射したときの反射光のうち、ラマン散乱光といわれる光を測定し解析することで、その物質の分子構造を特定する装置です。本装置は顕微式でマッピング機能を持つため、太陽電池に使われるシリコンや、リチウムイオン電池に使われるカーボン材料表面のミクロン領域での結晶構造などが精密に評価できます。
高機能比表面積/細孔分布測定装置
窒素などのガスを、圧力を変えながら、固体表面に吸着させるときの挙動を測定し解析することで、材料の比表面積や細孔分布を求める装置です。高精度圧力制御系を搭載しており、サブナノ領域サイズの細孔の分布まで評価することができます。
共焦点レーザー顕微鏡
より精度・解像度が高く観察できる高性能顕微鏡です。
細胞の二次元画像から三次元画像を構築でき、創薬の機能解析などが可能です。
ケミルミ撮影装置
ウェスタンによる化学発光やゲルの蛍光撮影が可能です。
タンパクや核酸の検出を行うことができます。
微量分光高度計
DNAやRNAなど、微量なサンプル(1-2μL)からでも濃度測定ができます。
リアルタイムPCR
目的のDNAだけを増やして解析できる装置です。
遺伝子レベルでの評価が可能です。
ICP-MS装置
ICP-MSはInductively Coupled Plasma Mass Spectrometry(誘導結合プラズマ質量分析)の略です。原子吸光分光光度計、ICP発光分光光度計と並ぶ代表的な無機元素分析装置の一つであり、最大の特徴は、多くの元素に対してpptレベル(1ppt:1兆分の1/東京ドーム1杯分の水中に溶けた角砂糖1個に相当する量)の超高感度分析が可能な点です。半導体材料や化学薬品の純度検定、様々な環境水の水質分析、さらには生体内元素のスクリーニングなど用途は多岐にわたっています。
MALDI-TOF質量分析装置(AXIMA® Assurance 株式会社島津製作所製)
MALDI-TOFはMatrix Assisted Laser Desorption Ionization、Time of Flightの略で、前者がイオン化方法、後者が検出方法を表します。2002年度のノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏(株式会社島津製作所)が開発した装置です。MALDI法は、代表的なソフトイオン化法で、従来のイオン化法(EI、CIなど)では壊れやすかった生体高分子(タンパク質、ペプチド、多糖など)のイオン化に適しています。またTOF法は、装置の超高真空中を試料がイオン化部から、検出器までを定速飛行する時間により検出する方法です。軽い低分子は速く、重い高分子は遅く届き、原理的には非常に大きい高分子量まで計測が可能です。生体高分子だけでなく、合成高分子や、金属錯体、多糖や核酸誘導体研究にも使えます。短時間で容易に測定できるので、生成物の確認だけでなく、反応の追跡にも使用することがあります。
QCM分子間相互作用測定装置(AFFINIXQN イニシアム社製)
本装置は水晶をある結晶方向に沿って金電極を取り付け、それぞれの電極に発振回路などを使用して交流電場を印加して水晶を振動させることで、微細な重量変化を振動数変化で検出します。金基板を表面に持つ水晶発振子チップに吸着する物質量が増加すると周波数が減少し、付着物質量が減少すると周波数が増加します。この現象を利用して分子間の相互作用を測定します。水中におけるタンパク質や核酸などの生体材料の相互作用から、酵素反応や洗剤の能力検査、空気中でのガスの吸脱着などをサブナノgの高精度で、リアルタイムでモニターできます。長所は検出するためのプローブが無くてもよい点で、短所は、相互作用する2者の片方をチップ上の金基板に固定する必要がある点です。
蛍光顕微鏡(IX71 オリンパス社製)
倒立型リサーチ顕微鏡IX71は、コンパクトで、優れた光学性能と拡張性を持つシステム顕微鏡です。ハロゲンランプを使用した、微分干渉顕微鏡とキセノンランプを使用した蛍光顕微鏡として使用できます。バイオの細胞、組織の観察から、生体関連化学、高分子化学におけるμmサイズのゲルやベシクルを水中で観察できます。DP72デジタルカメラを装備しています。超高真空中で観察する電子顕微鏡とは異なり、溶液中観察が可能です。また試料を蛍光物質でラベル化することで、蛍光顕微鏡により分布状態が分かります。
蛍光分光光度計(RF-5300PC 株式会社島津製作所製)
分子に光を照射すると、光を吸収したのちそのエネルギーを光として放出します。これを蛍光と呼び、この光のスペクトルと強度を測定することにより、試料の性質と濃度を調べることができます。蛍光分析法の特徴は、蛍光を出す分子種が比較的限られていることから目的とする成分を選択的に検出することができることです。また、吸光分析法に比べて高感度なので試料が低濃度でも測定が可能です。
HPLC液体クロマトグラフ分析装置(LC-2010CHT 株式会社島津製作所製)
この液クロは、脱気ユニット、低圧グラジエントユニット、ポンプユニット、ミキサ、オートサンプラ、カラムオーブン、UV-VIS検出器で構成された一体型です。高速試料注入及び多検体処理が可能で、分析や管理に必要な作業を自動化することができます。示差屈折検出器(RI検出器)が無いので、使用する試料は、紫外部(254nm)に吸収を持つ必要があります。
冷却遠心機
ローターに試料を設置し、それを冷却しながら高速回転させることで試料の遠心分離を行う装置です。ローターの種類により、1.5 mL/2.0 mLマイクロチューブ、15 mL/50 mL遠沈管、96ウェルマイクロタイタープレートを遠心分離することができます。最大回転数は15,000rpmまで可能です。
化学発光検出装置
高感度・高解像度の化学発光検出装置です。専用ソフトで画像データの解析を行うことも可能です。ウエスタンブロッティングなどの化学発光の検出に用いられます。
マイクロプレートリーダー
96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェル内の試料の吸光度を数秒程度で測定可能な装置です。酵素反応の測定、細菌の増殖の測定などに用いることができます。
サーマルサイクラー
PCR法によるDNA増幅に用いる装置です。精密な温度調整が可能です。温度調整のグラジエント機能を備えていることから、PCR条件を最適化するための条件検討を容易に行うことができます。
バイオ環境化学実験棟
建物内にはDNA組織変室やコールドルーム、細胞培養室などを設置。がん細胞に直接届くリボ核酸(RNA)を活用した治療薬の開発や微量有害物質の検出、環境負荷の少ないエネルギー交換システムの開発など、最先端のバイオ化学・環境化学の教育、研究を行っています。
総合技術研究所
先進的な設備を活用し、企業などとの有意義なプロジェクトを推進しています。
みらい工房
さまざまなものづくりができるよう金属や木材などの加工ができる各種工作機械を設置しています。