音メディア情報処理研究室の成田泰基さんが信号処理研究会賞を受賞
2022.09.01
経営情報科学研究科
受賞・表彰
大学院経営情報科学研究科博士前期課程2年の成田泰基さんが、昨年度の電子情報通信学会信号処理研究会で発表した論文によって信号処理研究会賞を受賞しました。
音メディア情報処理研究室(玉森聡情報科学科准教授)に所属する成田さんは、「正常データの分散を考慮した深層距離学習に基づく教師なし異常音検知における転移学習の検討」と題して発表しました。
近年、AI技術の発達によりIndustry 4.0における工場の完全自動化が注目されています。そうした中、産業機械の故障音を検知する「異常音検知」によって、機械の状態監視をすることができると考えられています。実運用へ向けた課題として、長期運用で発生しうる周辺音や機械音の変化といった問題に対処する必要があります。
そこで、本研究ではコンピュータビジョン分野(画像内のものを識別・理解できるようにすることに焦点を置いたコンピュータサイエンス)における転移学習(ある領域の知識を別の領域の学習に適用させる技術)を用いた異常検知手法を応用し、異常音検知に適用する手法を提案しました。
転移学習を用いることで、大規模なAIモデルの学習に必要となる学習時間を大幅に削減することができ、長期運用で発生しうる音の変化に対しては、モデルの再学習によって対処することができます。これにより、学習時間を5分程度に抑えつつ、異常音検知での代表的な他手法を上回る精度を達成できました。
受賞に当たり、成田さんは「卒業後もデータサイエンティストとしてAI分野に携わっていくため、本研究で培った技術を直接的に役立てていこうと思います」と意欲的に話しています。