商業施設に関わる作品を対象とする第2回中部商空間賞学生部門 (JCD日本商環境デザイン協会中部支部主催)で、建築学科の住・商空間デザイン研究室(安井秀夫教授)に所属する4年生の学生5人が、最優秀賞などの賞を受けました。
「今後も数多くの設計コンペに挑戦し、経験を積んでいきたい」と意気込む学生たちの受賞作品概要を紹介します。
最優秀賞・山本裕也さん『未知満ちる図書館』
物理学者ニュートンは偶然リンゴの落下を目撃し万有引力という新たな学問を開拓しました。はたしてこのような自身の思考領域外の情報に出会う体験は現代の画一化された環境において実現できているでしょうか。本提案では図書館を思考領域外の情報、すなわち未知に出会う場として再定義します。人々の振る舞いを新たな情報のハードとして捉え、偶発的に利用者の振る舞いとの関係が結ばれていくことを意図し計画することで、現代に新たな未知との出会いの場を生み出せるのではないかと考えました。
銀賞・橋村遼太朗さん『Fluttering Library』
未来に向けた提案を目指す、愛知県蒲郡市に位置した図書館の計画です。日本では国立図書館オンラインが公開されるなど、デジタルアーカイブ事業が発展しつつあります。そのため、本計画ではタブレットを貸し出すことで観光から得られる「動の知」と書物から得られる「静の知」を組み合わせた観光拠点となる施設計画を行いました。柔らかな木構造と半透明の膜屋根が蒲郡市の風景に溶け込み、新たな学びの場となっていきます。
銅賞・加藤孝大さん『建築の広がりしろ』
テーマである「余白」は建築界でよく耳にする言葉ですが、理解するのに非常に難しい言葉でした。空間的なものか、時間的なものか、それらを捉える人間の感情や記憶の余地のようなものか。「余白」という言葉を解釈していくうち、子どもにとっての「余白」とは自分の認識している世界が"広がる"こと、そして広がる準備としての余地の意である"しろ"(代)を合わせて、"広がりしろ"があることとし、設計を進めた作品になります。
銅賞・杉浦丹歌さん『廻食建築-人と食を必要な場所へ、必要な人へ行き渡らせる新しい知のインフラ-』
近年、食の持続可能性が危惧されています。その中で本提案の対象敷地である那古野・円頓寺商店街はこだわりの食を提供する店が多く立ち並び、飲み屋街として賑わいを取り戻しつつあります。そこで、食との関わりの深いこの地でコンポストを媒介とした食品リサイクルやシェアキッチン、水耕栽培などをはじめとした食農教育施設を計画し、食への意識改革ができる新しい知のインフラや街の居場所となるような建築を目指しました。
銅賞・熊﨑瑠茉さん『こころを彩るパレット』
人間の脳は幼少期に9割近く形成されるといわれ、幼いころの養育環境は子どもの個性に大きく関わります。子どもと保護者/保育者だけで完結していたスキマに地域民をプレイリーダーとして挿入します。園児と地域の人が"見る見られる"の関係になることで、固定化された保育者の単一な育成ではなく、多彩なプレイリーダーによる豊かな育成を目指します。スキマは互いに関与し合える余白へと変化し、様々な活動が滲む空間で自己を彩ります。
