工学部建築学科の歴史・意匠研究室(清水隆宏准教授)の学生が、2026年10月29日(木)、みよし市内の古民家で追加の実測調査を行いました。本研究室では、江戸時代末期とされる主屋と複数の建物が残るこの屋敷を対象に、歴史的価値を明らかにするための調査を続けており、今年度で3年目となります。
前回の図面を持参し、不足部分を補う追加調査
今回の調査には、卒業研究に取り組む4年生4人と大学院生1人が参加しました。これまでに、主屋、門や車庫棟、診療室、茶室を調査しており、今回は蔵や金比羅宮など、敷地内の別の建物が対象です。当日は、前回の調査をもとに作成した図面を持ち込み、寸法を測り切れなかった箇所や不明点だけを補う形で、午前10時から作業を進めました。建物の寸法は、手計測を中心に、一部でデジタル距離計も併用しながら記録していきます。建物内には物が多く置かれているため隠れた部分や、脚立が必要な高所の測定など、現場に応じた工夫が欠かせません。測れなかった箇所の扱いは、担当教員と相談しながら方針を決めていました。調査当日は、みよし市立歴史民俗資料館の館長らも同行し、学生の作業に立ち会いました。
古い図面と見比べ、建物の変遷と設計意図を探る
この屋敷には大正期の図面が残っており、学生はあらかじめ手書きで写しを作り、現在の建物と見比べながら測った寸法を書き込んでいます。便所が無くなっている箇所や、かつて自動車小屋だった建物が現在は別の用途で使われている点など、時代による変化も確認できました。持ち帰った実測値は図面として整理したうえで、尺や寸の単位に当てはめ、建てられた当時の設計寸法を割り出します。ほかと明らかに異なる寸法があれば、後世の改築を推測する手がかりにもなります。清水准教授は「新しいものを生み出す研究とは逆に、記録が残らず忘れ去られてしまった古い建物の情報を、もう一度見つけて記録に残す研究です」と話します。また「同じ場所を何度訪れても新しい発見があります」とも話しました。
文化財登録を見据え、地域の歴史を未来へ
参加した学生は「自分たちの研究が、文化財登録に繋がるなら大きなやりがいです」と話します。古い建物が好きで研究室を選んだ学生も多く、先輩の卒業論文に興味を持って入室した学生もいました。実測で得られた図面や調査記録は、建物の価値を地域に伝える基礎資料として活用が見込まれます。
本学は今後も、包括連携協定を結ぶみよし市をはじめ、地域の皆さまと連携しながら、学生が実際の建物から学ぶ教育・研究活動を進め、地域の歴史と文化の継承に貢献してまいります。